市場調査雑感

‘新しさ’とは


小津安二郎の「宗方姉妹」の中で、姉が妹に「本当に新しいことは、いつまでも古くならないことだと思うの。去年はやった長いスカートが今年は短くなるってことではない」と言うシーンがあります。
一方、マーケティングあるいは市場調査の場では、新しい言葉、理論が毎日のように生まれています。これらが真に新しい概念を指しているのか、以前からあるものに新しい衣を着せたものにすぎないのか見極める必要があります。
物を作る人、売る人、サービスを提供する人は、どんな時代であれ、買う人、利用する人のことを考えなかったはずはありません。
より喜んでもらい、より買って/利用してもらうために購入者/潜在購入者(利用者)の理解に努めたはずです。今日のマーケティングも、この気持ちとほとんど変わらないところから出発しているはずだからです。
市場調査では、この理解をより深めるために色々な調査手法、解析手法が開発されています。それぞれの有用性を試し、有用であれば我々の道具として使いこなすことが必要ですが、それも、根底に‘人間理解’という姿勢がなければ、単なるショーで終わってしまいます。
「いつまでも古くならない」思い、人々を知ること、お客様のために何が有用かを知ること、そのために幅広く学ぶこと、このことを忘れないかぎり、我々の調査は決して古くはならないものだと思います。

代表取締役 青山 浩